ザルを使った手づくりの手洗器に、薪を使ったドアの把手や床。近場で出た粘土を使った小舞土壁やアースオーブンづくり、石積み。手近な自然の恵みを活かす、古い忘れ去られた知恵や工夫、持続可能な環境を視野に入れた新しいデザインの実践の場として再生された。この夏には旧職員住宅を再生、外部コンポストトイレ、ミーティングルームにペチカ等の建設が予定されている。
大浴場はバイオガスや雨水タンクのある簡易サンルームに隣接する小さな教室を改造してつくられた。空き缶のリサイクルによる大浴槽、伝統的な五ェ門風呂、洗い場からなり、空き缶によってつくられた壁によって全体を仕切ることなく、桧と砂壁、小川の石によっておおらかに仕上げた。風呂の水は雨水を再利用している。
コンポストトイレは元々教室と渡り廊下の間の空隙に新たに増築した。屋根は土屋根、壁はワラ入り砂漆喰、トイレ正面の壁は伝統的な小舞壁の中に空き瓶を仕込んだボトルウォール土壁。コンポストの出し入れ等は温室側から行い、バイオガスや畑とのつながりが容易となっている。
ここでは子どもから大人たちまで誰もが一緒に地球環境のことや自然エネルギー、また家庭でも簡単にできるエネルギー利用まで幅広く体験することができる。私たち光風林はここで自然と共に生きる暮らし方や知恵をパーマカルチャーの考え方やそのデザイン手法をあわせた講座「家を建てよう」の講師として招かれ、「森と風の学校」を再生することになった。宿泊者が利用する大浴場(空き缶風呂、五ェ門風呂)、コンポストトイレ、アースオーブン(土釜)を、また、元々職員室であった場所を展示やミーティングルームとして再生した。
 国内でも有数の豪雪地帯であり、自然エネルギー利用の取り組みに積極的な岩手県葛巻町に「森と風の学校」は位置する。数年前まで地元の分校として利用されていたこの場所は、周辺地区の過疎化や合併に伴い廃校となった。かねてから廃校利用に取り組もうと考えていた岩手子ども環境研究所の代表の吉成信夫氏にこの話が伝わった。同氏は廃校跡に染み付く人々の過去の記憶を宮沢賢治の思想とともに、これからの子どもたちの未来へと繋げていきたいと考え、「森と風の学校」として新しい命が吹き込まれることとなった。
岩手 森と風の学校