オーブンづくりは敷地の中にある材料探しから始め、手近な材料のみでつくられた。探せば材はそこここに見いだすことができるということ、土や砂や藁や石、竹、石灰そして水という自然からの贈り物で出来上がるということ、ときに道具が無くても道具をつくればよいということ、土地の材料で出来上がったものは見事にその土地と調和するということ、そして焼きあがったパンは電気オーブンで焼いたそれよりはるかにおいしいということ・・・・賢治の学校での小麦つくりや、けやきの庭での薪集めという作業がパンを焼くという作業につながってゆく。そして子どもたちはそれぞれに何かを感じてくれたように思う。このけやきの庭からまた一つ賢治の学校の輪が広がってゆくことを願う。
東京・賢治の学校、「けやきの家」の改装とアースオーブンづくり


東京賢治の学校・「けやきの家」は、見事なけやきが生い茂る多摩川を望む立川の河岸段丘に位置する。賢治の学校とは、現代の教育を憂い、真の教育の在り方を模索している団体である。この「けやきの家」の改装依頼により賢治の学校とのつきあいが始まった。私たち光風林は、けやきの家に集う子どもたちの親を中心にした自力建設の指導を行いながら、ともに作業した。長野産の唐松を床に張る作業に始まり、古くなったビニールクロスをはがして漆喰を塗るというものだった。左官による塗り壁には接着剤が使われることが多いが、伝統的な角叉(つのまた)を使って自然素材の左官への無限の応用のパターン、現場での自由で創造的な発想、和紙の扱い方、糊はふのりを使うこと、空間つくりへの応用、等々短期間で濃密な時間をともに過ごし學んでいただいた。これからまだ手作りの照明器具を一緒につくったり、様々な生活の中での手作り作業のお手伝いをしてゆくつもりである。
今回のアースオーブンづくりは子どもたちも参加して、是非「土」というすばらしい材料に触れながら、手近で、自由な、簡単に扱える、安全で、安価な存在を自分たちのものにしてもらいたいという気持ちで光風林が提案した。そして、何よりアースオーブンはつくって楽しく、出来上がっても薪をくべたり、小麦をこね、パンやピザを焼いたりの料理の醍醐味をともなう。皆で戸外で一緒に食べ、人をもてなすことができる。畑を持つ賢治の学校にはもってこいであると考えたからである。