「風の舞う広場」は雑穀を主とする自然食の料理を学ぶことのできる場所です。ここでは、ありきたりの都会の建物を彼らの活動にふさわしい建物空間に再生すること、このプロジェクトそのものが私達をとりまく環境の修復へとつながる未来へのVisionを示すものとして3つの提案をしました。
1.自給建築の提案
 現在私たちの日常生活は、食べ物の生産から遠く離れ、植物や水や太陽、土という生命の本質的実体と付き合う機会や感動を失ってしまいました。しかし、都心のどんなに小さな空地でも光・水・土さえあれば食べ物の生産は可能なのです。ここでは、屋根や屋上、ベランダ、壁、日当たりの良い内部の窓辺、敷地周囲のモルタルで固められた地面などといった場所に少しづつ手を加え植物や水を利用して、食べ物の生産が可能な場所へと再生しながら全体をデザインしていきました。このことは同時に建物の断熱や防火・気候の緩衝・酸素の供給・周辺環境の改善、室内環境の調整等々、様々な役割を果たすことにもつながります。
2.植物や風や水と共に生きる建築の提案
 都市の生活の中ではエネルギーは供給され消費され、あるものは消費すらされずに出ていくだけです。しかし、よくよく思い出してみると田舎・都会に関係なく日は照り、風は吹き、雨も降る。その中で植物は育ち、鳥や虫・人間を含めた動物の営みがあります。ここでは営業時に出た排水を食物に涵養させ、限りのある資源を無駄なく利用し、都心でも生産活動が可能なように計画をしています。また、建物の内部の環境調整について安易にエアコンを使ってしまいがちですが果たして本当に快適でしょうか?ここでは補助的にはエアコンを使いますが、基本的には開口部の計画によって風の流れを作り光を取り入れて暑さ寒さに対応できるようデザインした。
風の舞う広場
〜すべての建設行為は環境の修復や暮らしの有様の修復につながっている〜

風の舞う広場の左官仕上げ

(外部)モルタル玉砂利伏せ込みカキ落とし仕上げ

(内部)1.泥団子積み(屋根土+ワラ+砂+砂利+炭+石灰微量)
    2.小舞下地荒壁仕上げ(屋根土+ワラ)麻ひも伏せ込み
    3.木摺下地トンボ打ち 砂漆喰2回塗り下地
     ・砂入りワラ漆喰+土(少量)仕上げ
     ・石灰入り屋根土(半付)素手仕上げ
     ・三年番茶入り砂漆喰
 ・貝殻、モチキビ伏せ込み砂漆喰
    4.ボードの上、Uトップ(石膏)下地
     ・砂入りワラ漆喰仕上げ(天井等)
5.吹き付け珪藻土の上、石膏下地
     ・石灰モルタルカキ落とし仕上げ(消石灰+砂)
6.練り物土間
     ・土入りモルタルカキ落とし土間(土+セメント+砂利+砂+貝灰)
7.たたき土間
     ・三和土土間(砂+砂利+貝灰)
8.版築ベンチ(三和土と同材料)
9.洗い出し水の道(大磯+セメント+松煙)
    10.ジャモン石研ぎ出しカウンター(ジャモン石+セメント+松煙)

3.自力建設の実践
 持続可能な文化や社会において、建物の建設は住む人使う人が自分達で建設することが最も基本的で重要なことがらひとつだと光風林は考えています。デザインと建設とは分離したものではなく建設しながらも確かめながらより良く修正してゆくものであって建設前にすべてが決められ、そのまま作ってしまうものであってはなりません。そして、施工は決して人まかせにするのではなく、土地の材料や身近な素材を使い、そこを使う人々にとって本当に必要なものをゆっくりと作り上げてゆくことが大切です。ここでは、色々な人の参加を受け入れ、様々なアイディアや考えによってより正しい方向へ導かれ、知識を共有し一緒に働くといったコミュニケーションを大切にしながら工事を進めました。材料は手近な自然素材を使うことを原則としながら解体の時にでるものの再利用や都市の中で入手しやすく安価な材料の発見の情報など皆で協力して対応しました。また、様々な土壁づくり(下記左官仕上げ参照)、洗い出し水の道の作成、レンガ敷き、手作り家具や照明器具づくり等々、持続可能な生活に生かすことのできる施工の実践と実験を行った。