最初に希望を聞いて、設計し、後はそれに従って、プロだけで建てていくなら、もっと早く終わるところを、作る段階にも住む人を関わらせることでかかった手間と時間は大変だったと思います。自分達にとっても、漠然とした希望を出し、後はお任せというのでなく、自分達も関わり、責任を持って決めていくというのは、その時は大変でした。まさに自分達夫婦がこの社会のなかでどう生き、子供たちに何を伝え、手渡していくのかを問われていると思いました。
北海道 F/H邸
私たちの家
夫と一緒なら家はなくてよい、テント一つあればよい、と思っていた私がどうして自分達の家を持とうと思ったか。それは筒井さんたちは、器としての家を作っているのではなく、そこに住む人たちが人間関係を作っていく場を作っているのだと感じたからです。夫と私、7歳と10歳の娘の4人が家族になっていく場を是非作りたいと思ったのです。そして私達はこの地に移り住み、もうすぐ丸2年。この家から大きな力をもらっています。
今回、光風林の方々から、この地で暮らす知恵と新たな力をもらいました。これからも私たちの家作りは続きます。
                     2003年 藤井克子
 作る過程では、光風林の方たちは自分達と一緒に生活しながら、作業し、話し合い、また作業をする、という日が続きました。実際にその場で、私達の希望を聞いてくださるので、こちらとしても、具体的にその場を感じ、想像し、希望を出すことが出来ました。しかし、私たちは素人なので分からないことも多く、それを筒井さんたちに教えてもらい、その上でまた考え、話し合い、決めていくという作業を繰り返しました。
この家には住む人間が作る時に関わっただけでなく、筒井さん達の技と気持ちが、たくさん込められています。ひとつの物を作るにもその陰にたくさんの準備の仕事があり、それを手作業で仕上げていきます。ひとつひとつの物が本当に大切に考えられ、丁寧に作られています。土壁、漆喰、木の床など自然の素材を使い、さらに家の周りにある木や、川の石や、粘土を採ってきて使い、土屋根には庭の土を上げました。そして、周りの土地と一体となるような家になりました。木の造作と漆喰、土壁で作られる柔らかな曲線は、そこに住む私たちをホッとさせます。
1年を過ごした、昨年の秋、冬場に問題となった玄関の寒さを改善するために、風除室を作りに来てもらいました。足場パイプとポリカを使った簡易的な物です。筒井さん達が帰られたあと、頂いたヒントを元に、熊笹を刈り、束ね、笹葺きの壁を自分たちで作り、完成させました。この作業をしていて、家というのは、こうして住む人間が実際に手をかけ、気を入れながら、大切な場になっていくのだなと思いました。