またトイレにも書棚があり、A邸ならではとなっている。さらに台所と書斎を仕切る壁に開口部を設け、各部屋の入り口扉をのれんにし、開放感と通気性を確保した。居間は唐松の無垢のフローリングに手づくりの収納棚、外の光を大きく受けとめ居心地の良い空間となっている。壁は漆喰と半付、土によるコラボレーション。今回は施主と施主の友人の参加のもと光風林と一緒に協同施工した。特に、廊下から居間にかけての三種の壁の重ね塗りは新しい試み。廊下から居間へと自然に導かれるよう波形にデザインされた。
和室の腰には和紙を貼り、土と紙に囲まれた柔らかい空間へと仕上がった。台所のタイルは瓦タイル。淡路の山田脩二作。素焼きと白の釉薬瓦をデザインしておさめた。照明器具はこれからゆっくりとつくってゆく。麻のローマンブラインドは「きるる」作。草木染めの手織の布は自然素材の内装と驚くほどよくあう。Aさんは完成後の部屋のアレンジを楽しんでおられる様子。よく考え慎重に適切なものを選んで彼女らしい素敵な場所になりつつある。
施主のAさんは某大学で講師を勤める女性。もともと国立を拠点に生活していたAさんが同市内に新築マンション(大手ゼネコン施工)を購入。しかし、新建材による内装が嫌で自然素材への仕様変更をデベロッパーに要求するもうまくゆかず相談を受けた。私たち光風林はAさんのサイドに立って共にデベロッパーと施工会社に交渉。工事途中における下地の段階での引き渡しに成功した。このとき自然素材による内装仕上げを前提とした下地施工への変更も勝ち取り、ここに新築マンションのリフォームが始まった。
国立 A邸
玄関を入って左側の部屋を書斎として使用するにあたって、マンション特有のその閉鎖的な廊下と書斎の壁を解体し両側から使える本棚壁(漆喰と木による環境壁として機能し、完全にふさがないデザイン)としたことで廊下から書斎の雰囲気がかいま見える豊かな空間に仕立て上げた。